耳鳴りに悩むあなたへ:知っておきたい!耳鳴りのこと(2025)
皆さんは「耳鳴り」を経験したことがありますか?耳鳴りは誰にでも起こりうる耳の症状ですが、その原因や感じ方は人それぞれです。持続的な耳鳴りは不安やストレスの原因となり、日常生活に支障をきたすこともあります。今回は、耳鳴りの種類やメカニズム、治療法についてお話しします。
耳鳴りとは?
耳鳴りとは、明らかな外部からの音がないにも関わらず、音を感じてしまう症状です。耳鳴りは大きく以下の2種類に分けられます。
・自覚的耳鳴り
音自体は存在せず、自分にしか聞こえません。
・他覚的耳鳴り
実際に音が体内から出ていて、他人でも音を聞くことができる場合があります。血管雑音や筋肉のけいれんなどによって起こる物理的な音が聞こえるものです。
この記事では、耳鳴りの大多数を占める自覚的耳鳴りについて述べています。
耳鳴りの音は、高音の「キーン」「ジージー」や低音の「ブーン」「ボー」などで表現されることが一般的ですが、聞こえる音の種類や音の大きさは人によって様々です。童謡などの音楽や特定の言葉が繰り返し聞こえるという例もあります。耳鳴りは、全人口のおよそ15~20%が経験している症状で、日常生活に支障が出るほど耳鳴りに悩んでいる人はおよそ2〜3%いるとされています。
耳鳴りの原因は?
耳鳴りの原因となりうるものは、大きく以下の3つに分類されます。
・聴覚系の問題
加齢性難聴や突発性難聴などによる内耳機能の低下、聴神経の腫瘍や慢性中耳炎などにより、聴覚情報が正常に脳に伝わらなくなることが原因となります。
・体の病気や疲れ
高血圧や動脈硬化などで血流が悪化することや、頭部外傷・脳梗塞など神経系ダメージが原因となる場合があります。また、精神的なストレスや疲労も耳鳴りの原因となることがあります。
・その他の原因
一部の薬剤の副作用として耳鳴りが起こることがあります。カフェインやアルコールの摂取も耳鳴りを悪化させる可能性があります。
耳鳴りのメカニズム
耳鳴り研究は客観的評価が難しく、耳鳴りがどこでどのように発生しているのかは完全には解明されていません。しかし、耳鳴りを理解するための重要なポイントがいくつかあります。
・神経の活動性の亢進
耳から伝わる音の刺激が少なくなると、聴覚を司る神経の活動性が過剰に高まり、実際には存在しない音を「聞こう」とする信号を脳に送ります。この現象が耳鳴りの元になります。
・脳の可塑性
脳は刺激によって変化する性質(可塑性)を持っています。音の刺激が脳に伝わらないと、脳がいわゆる欲求不満の状態になり、その状態が続くうちに脳自体が音を作り出してしまいます。「耳鳴りの回路」が脳にできてしまうのです。
・意識情動系の関与
耳鳴りは意識や感情(意識情動系)と大きな関係があります。音の経路である聴覚路と、好き嫌いや恐怖、不安の感情と強い関係を持つ扁桃体という部位が関係しています。これにより、耳鳴りで不安やイライラなどの感情が出やすくなることがあります。また、意識情動系の働きが聴覚系に悪影響を及ぼし、耳鳴りの音を選別して聞いてしまい、更に耳鳴りの音を大きくしてしまうという悪循環が起こります。
耳鳴りの治療法
耳鳴りの治療法は、その原因や症状によって異なります。また、耳鳴りの治療法はさまざまあり、どの治療がどの程度有効かは個人差があります。残念ながら、すべての耳鳴りが必ず治るわけではありませんが、治る耳鳴りが治らなくなってしまわないように、耳鳴りが気になり始めたら、早い段階で耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。
・原因となる病気の治療
聴神経鞘腫の場合は手術や放射線治療、メニエール病が原因であれば抗めまい薬や利尿剤、内耳の血流を改善する薬物療法などが有効とされています。
・補聴器
難聴を伴う耳鳴りの場合、補聴器を使用することで耳鳴りが軽減されることがあります。補聴器は、聞こえにくい音を補うだけでなく、脳に届く音情報を増やすことで耳鳴りの聞こえ方を抑制する効果も期待できます。
・TRT (Tinnitus Retraining Therapyの略)
日本語では耳鳴順応療法や耳鳴り再訓練療法と呼ばれます。耳鳴りを異常なものではなく「自然なもの」として慣らしていく治療法です。補聴器や機器を使用し適切な音を入れることで、耳鳴りが際立ちにくくし、意識させなくする音響療法と、耳鳴りの知識や理解を得ることで耳鳴りの不安をなくす心理・認知行動療法から成り立っています。
・ストレス管理
ヨガや瞑想などのリラクゼーション法を取り入れることで耳鳴りを軽減できる場合があります。
・生活習慣の改善
カフェインやアルコールの摂取を控える、睡眠時間を確保する、適度な運動をするなど、生活習慣を改善することで耳鳴りの症状を緩和できる場合があります。
おわりに
耳鳴りは非常に多くの人に見られる症状ですが、そのメカニズムは複雑で完全には解明されていません。聴力の低下やストレスなど、さまざまな要因が関与します。耳鳴りが気になる場合は、早急に耳鼻咽喉科の専門医に相談することをお勧めします。適切なアプローチや治療法について詳しく教えてくれるでしょう。自分の聴力の状態や耳鳴りのメカニズムを理解することで、耳鳴りを気にせずに過ごせるようになったというケースもあります。専門医に相談し、耳鳴りについて知ることが、生活の質を向上させる手助けになるかもしれません。
※本記事はあくまでも一般的な情報提供を目的としており、医療的なアドバイスではありません。
耳鳴りの症状が気になる場合は、必ず専門医にご相談ください。
参考資料
・改訂版 耳鳴りなんかもうこわくない! 八重洲出版
・耳鳴診療ガイドライン 2019年版 一般社団法人 日本聴覚医学会
・慶応義塾大学病院 KOMPAS
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000558/
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